浮舟
やるせなく他事の始末に居寄りけり宵に妻死の支度なせるや
やるせなくたじのしまつにいよりけりよいにつましのしたくなせるや
薫は許嫁である浮舟の存在を匂宮から隠すため、宇治山荘にかくまう。
しかしそれを知った匂宮は山荘へ行き、浮舟を小舟に乗せて宇治川の小島へ連れ出し一夜を共にしてしまう。
薫とのことで都に引き取られる日取りは近づくのに、匂宮からも求愛の手紙が次々と届けられる。
浮舟は進退窮まってしまった。
そしてついに宇治川に身を投げる決心をする。
自分の死んだ後、匂宮からの手紙が残っては宮にも迷惑がかかるだろうと、夜人目につかないようにそっと庭で手紙を燃やすのだが、お付きの女房に知られてしまう。
女房は「そういう美しい手紙は結婚してもそっと隠してお持ちになればよいのですよ」と諭す。
浮舟が死を決意しているなど、女房はもとより誰も夢にも思ってはいなかった。
薫さま雨後の望みは御世に死に黄泉は御苑の業魔去る丘
かおるさまうごののぞみはみよにしによみはみそののごうまさるおか
定めつか澄みし月晴れ川の辺の別れはきつし水が冷たさ
さだめつかすみしつきはれかわのべのわかれはきつしみずがつめたさ
