草の中思いつつ見しは常の世の言葉しみつつ妹が名の咲く
くさのなかもいつつみしはとこのよのことばしみつついもがなのさく 2010/1/14
元歌
万葉集 2467 作者不詳
路の辺の草深百合の後(ゆり)にとふ妹が命をわれ知るらめや
「今は一緒になれませんが、ゆり(後)にはきっと、」と少女が言った。そんな少女もはかなく死んでしまった。
作者は草むらに咲く一輪の百合(ゆり)を見て「ゆりにはきっと」という少女の約束の言葉を思い出している。
可憐な百合の花で少女の姿を想い、「ゆり」という言葉の音で少女の約束の言葉が甦ったのである。
「知るらめや」は「領(し)るやめや」の意味を持ち、いまは人智の及ばない存在になってしまったことを嘆いている。
万葉集中の秀作の一つで、私の好きな歌である。