源氏物語4帖 「夕顔」より

夕顔
綜麻形の問いし神の瀬床果てば異世の身かし糸の誰が添へ

へそがたのといしかみのせとこはてばことせのみかしいとのたがそへ

 

夕顔は身の上を明かさなかったので、源氏もどこの誰とも明かさずに夕顔の許へ通っていた。

夕顔は勝手にそれが源氏の君だろうと推測はしていたのだが、身なりまで変えて訪れる源氏に戸惑っていた。

ひょっとして三輪山伝説のように、この世のものでない神が身を変えて通って来ているのでは、などという妄想に囚われたりした。

三輪山伝説では活玉依比売と大物主命は糸で繋がったのだが、自分と源氏に誰が糸を結んだのだろうか。

そんな妄想のまま床を重ねたその果ては冥界に繋がっていた。夕顔は六条御息所の生霊に憑りつかれ絶命する。

 

綜麻形(へそがた)は糸を巻き付ける道具。

万葉集では三輪山惜別歌(額田王)に添える歌として、

綜麻形の林の前のさ野榛(はり)の衣に付くなす目に付く我が背

という歌がある。

ここでは綜麻形という言葉で三輪山伝説の糸を暗示している。

また榛(はり)で針を、「衣に付くなす」で神の化身の衣に糸を縫い付けたことを示している。

 

 

 

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