舞う悲しみも 大伯皇女

戻る身は越せ黄葉なか馬の背の舞う悲しみも背子は見るとも

もどるみはこせもみじなかうまのせのまうかなしみもせこはみるとも

伊勢の場を涙流して離散せん去りてし彼方みな叔母のせい

いせのばをなみだながしてりさんせんさりてしかなたみなをばのせい

 

元歌

万葉集 106 大伯皇女

二人行けど行き過ぎ難き秋山をいかにか君が一人越ゆらむ

大伯皇女が弟大津皇子を詠った歌は万葉集に六首ある。
大津皇子処刑はあまりにも性急かつ強引なもので、持統天皇側の焦りのようなものが感じられる。
天智天皇が曽我山田石川麿にあらぬ嫌疑をかけ、自害に追い込んだ事件に酷似しているのは、やはりそれが持統天皇のトラウマとなっていたのかもしれない。

『懐風藻』の冒頭に大津皇子の漢詩二篇(内一篇は辞世の歌)、川島皇子の漢詩一篇が載っている。
続けて編者の事件に関する感想が記されているが、親友を裏切る証言をした川島皇子を非難している。
しかし川島皇子の弱い立場を思えば決して責めることはできない。川島皇子も生涯苦しんだことだろう。

 

 

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